室内の空気環境と子どもの精神神経発達

2022年1月25日に新しいエコチル調査の結果が発表になりました。

 

「幼児期の室内空気汚染物質ばく露と精神神経発達との関連:こどもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)

全文は下記参照。

幼児期の室内空気汚染物質ばく露と精神神経発達との関連: 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について|2021年度|国立環境研究所 (nies.go.jp)

 

一部結果を抜粋します。

 

「一つ一つの汚染物質の解析では、3歳時点で室内キシレン濃度が高いほどASQ-3スコアが低くなることがわかりました(その他の物質では、個別解析では、影響はみられませんでした)。次に、WQSモデルを用いた解析の結果では、3歳時点での室内汚染物質濃度指標(WQS指標)が高いことと、ASQ-3スコアのうち粗大運動に関するスコアが低いことについて関連があり(参考図)、主にベンゼン(影響の強さの割合(WQS重み):34%)、トルエン(26%)、o-キシレン(14%)及びエチルベンゼン(10%)等が影響していました。長期的な影響の解析では、室内キシレン濃度(1歳6か月時と3歳時の幾何平均)が高いことと、ASQ-3スコアのうち粗大運動に関するスコアが低いことについて、関連がありました。」

 

要するに室内の空気が有害物質で汚染されていると、子どもの発達に影響があるということであり、

特に室内のキシレン濃度が高いほど総合的に影響があることがわかりました。

その中でも粗大運動に関してスコアは低いと判明。(粗大運動は、走ったりけったりする運動)

 

■キシレン

上記の国立環境研究所の発表の中では、

合成原料として→染料、有機顔料、香料、可塑剤、医薬品

溶剤として→塗料、農薬、医薬品

石油精製溶剤

に使われているとあります。

 

室内空気環境中に存在するということは、

染料、顔料、油性ニス、壁紙(接着剤)、ビニルクロスなどの溶剤から放出されているのかもしれないですね。

建材だけではなく家具にも使用されています。

 

下記のように、国が定める基準値よりも低濃度で影響があることがわかりました。

「厚生労働省の定める室内濃度指針値200 µg/m3よりも低い値でした。その他の物質についても同様に、室内濃度が室内濃度指針値を超える例はほとんどありませんでした。この結果から、キシレンを含む、低濃度の室内汚染物質ばく露でも、子どもの発達に影響がある可能性が考えられます。」

 

 

キシレンは届出や排出量の報告が必要な物質ですが、平成30年度(2018年度)では上位2位に入っており、排出だけで年間25,000トン排出されているようです。

 

問題はキシレンだけではなく、キシレンのように影響のある物質が複数あり、複合汚染されているということです。

例えばキシレンだけの対策をすれば良いという問題ではないのです。

 

子どもだけではなく、シックハウス症候群や化学物質過敏症で苦しまれている大人も増えていますよね。

 

こういった有害化学物質を少しでも減らして、健やかに快適に過ごせればいいのになといつも思います。